治療ブログ

2023.01.23

妊娠中の歯科治療について、マタニティ歯科

妊娠中の口腔内環境の変化

「妊娠すると歯周病になりやすい」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

母体には妊娠にともない、色々なところで変化が起きます。

もちろん口の中も含まれます。

そして妊娠中歯科治療制限が出てきます。

ストレスが強くかかる処置、例えば抜歯などの外科処置妊娠の3-8ヶ月の間でのみ可能です。逆にそれ以外の時期で痛みが出た場合は本来抜歯が必要なケースであっても原則的に抜くことは出来ません。

また、妊娠中は痛み止めなど、薬についても配慮する必要があります

妊娠中に口腔内のトラブルで母子ともにリスクを抱えないように、常に口腔内を良い環境で保てるようにしておく方が良いと言えます。

 

妊娠中に起こり得る口への影響について

•妊娠悪阻(つわり)による影響

つわりは妊娠5週~6週の間に出現して12~16週までに自然に消失すると言われています。
症状には個人差がありますが、吐き気を伴う気持ち悪さや、嘔吐感により歯ブラシが入れられず、口腔内の細菌が増えやすく、むし歯や歯周病のリスクが高い状態になることがあります。

また、この時期に繰り返される嘔吐で歯が胃酸にさらされると、歯の表面が酸で溶ける「酸蝕症」のリスクが増加します。

 

・妊娠性糖尿病

それまで糖尿病ではなかった人が、妊娠中にはじめて血糖値の上昇など糖代謝の異常が認められ、かつ、糖尿病の診断基準に当てはまらない場合に診断されます。

妊娠中期以降、血糖値が上昇しやすくなります。

特に肥満、家族に糖尿病歴がある、高齢出産などで発症しやすいとされています。

糖尿病は歯周病と密接な関係にあり、糖尿病があれば歯周病が悪化し歯周病があれば糖尿病が悪化します。各々の治療にはどちらのコントロールも必要になります。

糖尿病になると、免疫を担う細胞の能力が低下したり、コラーゲンの合成阻害が生じ歯周病を悪化させます。

実は歯周病による炎症が早産のリスクを高めてしまうとも考えられています。

この妊娠性糖尿病は母体にもリスクが生じますが、巨大児の出産や胎児の死亡につながることもあります。

母子共に大きな健康のリスクとなるため適切な治療が必要となります。

 

・いびき

妊娠中は赤ちゃんに十分な栄養を送るために、母体も栄養を蓄えます。

お母さんの体にも多くの脂肪が蓄えられますが、それが咽頭部に起きると気道を圧迫することがあります。

気道の圧迫は大きないびきを伴い、睡眠時無呼吸症候群に近似した症状が出る事もあります。

妊娠中は、プロゲステロンというホルモンの作用で眠くなります。しかし、「妊娠したらいびきがひどくなった」という場合は、睡眠時無呼吸症候群による睡眠不足で眠くなっている可能性があります。

過度の眠気や倦怠感を感じたりした場合は、ストレス軽減や体力を回復するためにも、主治医への相談が必要です。

また、妊娠中に睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠中の低酸素状態が続き、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンのはたらきが悪くなり、血糖値が下がりにくくなります。

そのため、血糖値が高い状態が続いてしまい、妊娠糖尿病を発症するリスクも高まります。

歯科医師によるマウスピースの処方も有効なケースもあります。

このように、妊娠中は普段よりも不安定になりやすい状況であり、口腔内も無関係ではありません。それどころか深く関係しているのです。

 

妊娠中の口腔内トラブル

 

1.口の中がネバネバする

妊娠中は個人差はありますが、唾液の分泌量が少なくなるため、つわりなどで歯みがきが不十分になると、菌が増え歯垢が増え、口の中がネバネバしてきます。

 

2.歯ぐきの腫れや出血

妊娠中はエストロゲン(女性ホルモン)の増加や内分泌の変調により、妊娠性歯肉炎という妊娠期にのみみられる病態もあります。

 

3.口臭が強くなる

女性ホルモンの変化にともない、口の中に菌が増えやすい状態になると、その菌が原因となって口臭が強くなります。

また、つわりによる胃酸逆流が口臭の原因になる場合があります。

 

4.むし歯ができやすくなる

つわりなどで口のケアが難しくなり、むし歯になるケースが出てきます。

妊娠したらまずは歯科健診、歯のクリーニングを受けましょう。

治療が必要な場合は、中期(安定期)に入ってからが望ましいです。

 

妊婦さんが歯科治療を行える時期

妊娠中の歯科治療は「妊娠中期(安定期)」が最も安心です。

 

妊娠初期:妊娠4か月(16週)までは赤ちゃんの顔や器官が形成される「器官形成期」にあたります。

また切迫流産のリスクが高い時期でもあります(報告では15%)

緊急性の低い治療はなるべく避けた方がよいでしょう。

薬剤の胎児への影響も考慮する必要があります。

催奇形性は妊娠4~15週頃まで、胎児毒性は妊娠16週~分娩まで発現する恐れがあるといわれています。

抜歯や投薬は、胎児への安全性を考慮すれば妊娠5か月目以降(一般的に安定期に入ってから)が望ましいといえるでしょう。

*催奇形性;胎児の形に奇形が生じることを指します。

*胎児毒性;胎児の発育や機能を悪くすることを指します。

 

妊娠中期:妊娠5~8か月(17~28週)まで

一般的に妊娠中期(安定期)であれば通常の歯科治療は問題ないとされています。

治療が必要であればこの時期が最も安心です。

しかし麻酔・レントゲン・薬の服用は本当に必要な場合に限定すべきです。

 

妊娠後期:妊娠9ヵ月(29週)以降

早産のリスクや母体の妊娠貧血の可能性のある時期です。

また妊娠末期では母体が仰向けになるとお子さんの重さで下大静脈という静脈

を圧迫し低血圧などが起こりやすくなります。緊急性の低い治療は避けるほうが良いと言えます。

 

妊娠中の歯磨き

妊娠中につわりがひどく、十分に歯磨きができない。

この場合でも将来を考えてできる範囲でのケアを行っていくことが大切です。

*歯みがきの方法を工夫する

つわりのせいで歯ブラシを口に入れることで「おえっ」という吐き気、嘔吐反射を感じるという方がいます。

その場合は、ふだん使っている歯ブラシではなく、子供用の小さい歯ブラシや糸ようじ、デンタルフロスを使ってみるもの一つの方法です。

 

*歯みがき粉をつけない

歯みがき粉の味やにおいに反応してしまう方は、あえて歯磨き粉を付ける必要はありません。

歯みがき粉はあくまで補助であり、正しく行えているブラッシングであれば歯磨き粉の使用の有無は汚れの除去に差はないというデータもあります。

 

母子ともに健康でいるために口腔内の環境を常に整えていくことが望ましいと思います。

まずは検診とクリーニングをこころがけ治療が必要な歯に関しては適切な時期に治療することを心がけましょう。

 

萩野 貴磨

TEL:03-5990-2835 初診専用WEB予約
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