口の中の清掃で一般的に使用されている器具は、歯ブラシです。
しかし、歯ブラシだけでは、口の中のすべての歯垢を除去することはできません。
特に歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間の清掃は、虫歯や歯周病の予防において重要です。
しかし!日本ではデンタルフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃器具を使用している人の割合はいまだに少ないです。欧米では小さいときから予防的に歯医者に受診する習慣がありますが、日本はその習慣が浸透していないためでもあります。
(スウェーデンやアメリカなど、おおよそ7-8割の人が予防などで定期的に歯科受診をします。日本はその割合が1割以下です。)
口の中の状態は多種多様であり、年齢や生活習慣、疾患によって変化していくので、それらに適応した清掃器具を選択することが必要です。
☆デンタルフロスとは?
歯間ブラシとともに、歯と歯の間の清掃に最も適したヒモ状の補助的清掃器具です。
デンタルフロスを歯と歯の間から歯周ポケットまで挿入して歯垢を除去します。
プラスチック等のホルダーに固定されているタイプのものあります。
a.種類
さまざまなものが市販されており、ワックスタイプとノンワックスに大別されます。
デンタルフロスの素材には、ナイロン、ワックスを塗布したプラスチック線維である伸縮性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、スポンジ状のものなどあります。ヒモ状のものをフロスとよび、帯状のものをテープとよびます。
その他、ペパーミント味のグリーンのフロスといった色や風味をつけたデンタルフロス、フッ素が塗布されたフロスもあります。
あらかじめデンタルフロスがホルダーに装着されたものもあります。
b.適応
デンタルフロスは、以下のような所や補綴装置の清掃に使用されます。
①歯と歯の間
②補綴装置連結部(銀歯など)
③ブリッジ基底部
④インプラント
c.基本的な使用方法
①指に巻きつける方法
40㎝程度に切ったデンタルフロスを両手の第3指に巻きつけ、第1指と第2指で固定し、よく張った状態で使用します。
このときの指と指の間隔を1〜2㎝くらいに保つとスムーズに操作できます。
上の歯に使用する場合には、第1指と第2指の、指腹でデンタルフロスを保持します。
下の歯に使用する場合には両手の第2指でデンタルフロスを保持し、親指を添えて操作します。
②フロスホルダーを使う方法
カットしたデンタルフロスをフロスホルダーに巻きつけて使用します。
フロスホルダーには、Y字型のものとF字型のものがあります。すでにデンタルフロスが装着されているものと同様に、デンタルフロスの使用が困難な奥歯への使用や子供らへの使用に適ししています。
③フロススレッダー
被せ物の連結部や歯茎に接したブリッジなど、デンタルフロスの最初の通過が困難な場合には、フロススレッダーを用いて操作します。
d.基本的な操作法
①歯の軸に対して45°の角度でデンタルフロスを挿入し、のこぎりを引くように頰、舌方向に動かし、歯と歯の間を静かに通過させます。
②挿入した歯の面にデンタルフロスを沿わせ、歯周ポケットに挿入します。
③デンタルフロスを歯の方に向かって動かし、歯に着いた歯垢をこすり取るように除去します。
④終了後も挿入時と同様に歯と歯の間を静かに通過させて、デンタルフロスを除去します。
挿入の仕方を誤ると歯茎を損傷するので、デンタルフロスの操作法については十分な指導が必要です。
使用後は歯ブラシと同様に洗って使用できるものもありますが、ほとんどは使い捨てです。
フロスを毎日通すことは大変ですが大切なことです。できれば毎日フロスを通すことが理想といえます。
毎日が難しくても必ず定期的にはフロスをすることを推奨します。
萩野 貴磨